嗜睡 読み方(しすい) 別名:多眠
嗜睡とは、神疲困倦(疲れて眠くなる)、非常に強い眠気、いつも気づかないうちに眠ってしまうなどの病状を指す。「多眠」とも呼ぶ。
嗜眠の病理は四つある。
1.陽虚陰盛
2.湿困脾陽
3.脾気虚弱
4.温病で邪入心包
臨床で多いのは、次の四つである。
1.痰湿困脾:痰湿困脾の臨床特徴は、疲れて眠くなり、併せて頭目昏沈(頭や目がボーッとする)、身重脘悶(身体が重くて心窩部が不快)、膩苔、脈濡などである。
痰湿困脾の病因は、①暑湿の邪を外感する ②日頃から体内に痰湿がある。病理は湿邪困脾(湿邪が脾を障害する)、清陽が頭へ昇らないため、頭部が栄養されなくて嗜眠となる。
2.脾気虚弱:脾気虚弱の臨床特徴は、食後に疲れて怠くなり、眠くなる。身体の衰弱、食少納呆、少気乏力などを伴う。脾気虚弱の病理は脾胃気虚により、運化する力が弱く、清陽が頭へ昇らないため、頭部が栄養されなくて嗜眠となる。
3.陽虚陰盛:陽虚陰盛の臨床特徴は、極度の疲労があり、意識が朦朧とする、手足が冷たく脈微である。陽虚陰盛の病理特徴は心腎陽衰である。傷寒病の後期にある重症患者で見られ、心陽と腎陽が衰微しているため、陰寒内盛となり、身体の機能が減退して多眠となる。
4.邪陥心包:邪陥心包の臨床特徴は、温病で昏睡して譫語、熱が夜間に高くなり発疹が出ることもあって、舌絳、脈数である。邪陥心包の病理は熱入営血(熱が営血へ入る)、邪陥心包(邪が深部の心包へ侵入する)で、邪気が心神精神を蒙蔽(包み込む)するため意識がぼんやりし、昏睡する。
中医学アカデミー代表・世界中医薬連合会常任理事・中医師
1959年生まれ。遼寧中医薬大学卒業後、大連第三人民病院内科学中医内科で医師として勤務。1990年に日本へ来日し、日本医大丸山ワクチン・薬理教室の客員研究員を務める。その後、日本中医薬研究会の講師を経て、特定非営利活動法人「中医薬学会連合会」を設立し理事長に就任する。翌年には中国世界中薬学会聯合会常任理事も兼任。2011年に世界中医薬学会聯合会認可のもと中医学アカデミーを設立し、国際中医師の育成と中医学の普及に力を注いでいる。
来日以来、日本の教育現場で自らも講師として教壇に立ち、中成薬の使い方をはじめ、中西医結合の研究・中医基礎・中医診断学・中医中薬学・中医方剤学・中医内科学・中医臨床等の指導や、初心者への講演などを実施。累計1000人以上の生徒を指導し、500人を超える国際中医師を育成している。
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